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離婚時の年金分割の仕組みと注意点について



夫婦が婚姻期間中に納付した年金は、夫婦の共有財産とみなされています。離婚する際には、それまで納付してきた年金を分割して受け取れるようにする制度が年金分割(離婚時年金分割制度)です。

 

年金分割の対象

夫が受給する年金の半分を受け取れるわけではなく、いくつか条件があります。結論から申し上げると、年金分割はサラリーマンや公務員が対象で、自営業者は対象外です。

年金は三層構造になっています。

●一階部分…国民年金

●二階部分…厚生年金(共済年金)

●三階部分…確定拠出年金、企業年金、個人年金など

このうち、年金分割の対象となるのは「二階部分」だけです。

夫がサラリーマンから自営業に転職した場合は、サラーマンだった期間だけが分割の対象です。また、分割受給の期間は婚姻から離婚までなので、結婚10年で離婚した場合は、支給期間は10年になります。

 

合意分割と3号分割

年金分割には、「合意分割」と「3号分割」の2つの方式があります。

1.合意分割とは

夫婦の両方が厚生年金を支払っていた場合に適用されます。

合意分割は、夫婦間の話し合いによって、分割の割合を任意に決めることができる制度です。協議によって合意できない場合は、家庭裁判所の調停や審判がおこなわれ、裁判所が按分割合を決めますが、多くの場合は2分の1ずつの分割になります。

2.3号分割とは

夫婦の一方が専業主婦(主夫)の場合に適用されます。

3号分割では、厚生年金の被保険者(おもに夫)が納付した保険料について、被扶養者(おもに妻)が、被保険者の年金記録の2分の1を強制的に分割することができます。

なお、施行日の関係で、平成20年(2008年)3月31日以前の期間は含まれず、それ以前の分割については合意分割を適用します。

 

年金分割の手順

1.3号分割の場合

被保険者(おもに妻)が、年金事務所に分割請求をおこないます。これにより被保険者(おもに夫)の厚生年金記録(二階部分。標準報酬月額・標準賞与額)の2分の1を強制的に分割します。

2.合意分割の場合

3号分割は2008年4月1日に施行されたため、それ以前の婚姻期間は対象外です。したがって、自営業者だけでなく、給与所得者の場合も、施行日前の婚姻期間については合意分割を行う必要があります。

3.通常の手続きについて

3号分割制定(2008年4月1日)以前から結婚生活を営んでいた夫婦の場合、合意分割と3号分割の両方が適用されます。すなわち、実質的には合意分割を行って割合を決めてことになりますが、実態としては、2分の1ずつの割合で分割されることになるでしょう。

 

合意分割の注意点

1.夫婦で合意した場合

合意分割で按分を決めてから、離婚後に元夫婦が揃って年金事務所に出向いて手続きをおこないます(代理人も可)。しかし、いざ手続きの段階になって相手方が協力しなかったり、合意を撤回するケースもあり得ます。

そのようなトラブルを回避するため、離婚時に公正証書を作成しておくケースが多いです。公正証書によらない私文書の離婚協議書では、妻単独での分割請求はできませんが、公正証書に合意分割の内容を盛り込んでおけば、妻一人でも年金事務所での手続きが可能になります。

2.夫婦で合意できなかった場合

任意で合意ができなければ、家庭裁判所の手続きを経て、分割の割合を決めていくことになります。

 

手続きについての注意点

1.必要種類一覧

・標準報酬額改定請求書

・年金手帳または年金基金番号通知書

・戸籍謄本(離婚後のもの)

・身分証明書(運転免許証やマイナンバーカード)

2.その他の注意点

年金分割には請求期限があります。離婚後2年以内に請求しなければ認められなくなるので注意が必要です。

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